オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


両手を握りしめ、必死に彼の無事を願っていると

自動ドアの向こう側が慌ただしくなり始めた。


看護師に指示を出す医師の声が張り上げられている。

もしかして、容体が急変したとか……?


こちら側から開ける事の出来ない自動ドアをじっと見据え、

私は彼の無事を切に願う。


恋人でも無い、家族でも無い。

友人でも無ければ、顔見知りの知人でも無い。

御影の社員でも無ければ、ご近所さんでも無い。


今日初めて会った男性だというのに、

まるで他人事のようには思えなくて……。



暫くすると、ER内が静かになり始めた。

ドア越しでも分かるほど、気配が落ち着きを見せ始めると。

目の前の自動ドアから1人の看護師が姿を現した。


「あの、彼の携帯がずっと鳴っているので、先にお渡ししておきます」

「えっ?あっ、はい。あの、彼は……?」

「詳しい事は後程、医師から説明があると思いますが、ご家族の方ですか?」

「え?」


看護師の言葉に固まってしまった。


「こちらでは、携帯の使用はお控え下さい」

「………はい」


三浦さんの携帯を受取ると、看護師は再びER室へと入って行った。


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