オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
自宅マンションの地下駐車場に到着しても尚、
京夜様は一言も発さず、険しい顔も崩してない。
車から降りると、助手席に回り込んだ彼が
有無を言わさず、強引に私の腕を掴んだ。
そして、当然とばかりに自宅へと歩き始める。
痛いくらいにきつく掴まれているのに
そんな彼の行動でさえ、嬉しくて堪らない。
大きなストライドで歩く彼を必死に追いかけた。
自宅のリビングに辿り着くと……。
「んッ……」
振り返った彼の長い腕に抱き締められた。
「心臓が止まるかと思っただろ」
「…………ごめんなさい」
「無事だったから良かったものの………ホント、お前って奴は……」
抱き締める腕に力が入る。
彼が心底心配してくれた事が痛いほど伝わって来た。
だから、私も彼を安心させてあげようと抱き締め返す。
ゆっくりと顔を持ち上げると、
漸く安堵した表情を浮かべた彼と視線が絡まる。
そんな彼に“私はここにいます”と思いを込めて微笑むと、
愛しそうに頬を撫でる京夜様。
そんな彼の手に自分の手をそっと重ねると、
ゆっくりと彼の影が降って来た。
お互いにお互いの存在を確かめ合うように………。