オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
結局どうする事も出来ず、婚約披露パーティーが行われるという日を迎えてしまった。
「京夜様、準備が整いました」
「…………ん」
いつもと何ら変わらない黒いパンツスーツ姿で俺の目の前に現れた希和。
必死に取り繕って笑顔を振り撒こうとしている。
そんな彼女の目の前に立ち、俺は彼女を真っ直ぐ見据えた。
「希和」
「………はい」
「心配するな。婚約はしないから」
「でも……」
「条件が違う。俺は天宮製薬の為に婚約するつもりは無い」
「ですが………」
「希和を連れて逃げる事を考えたが、それでは何も解決しないように思う」
「………」
「母さんも言ってた」
「………何をですか?」
「逃げる勇気があるのなら、堂々と胸を張ってメディアの前で宣言すればいいって……」
「ッ?!………ですが、それでは……」
「だから、心配するな。俺は天宮とは婚約しない。勝手に決められて堪るかッ!!」
俺は彼女をきつく抱きしめた。
安心を与えると同時に俺の意思が固いのだと解らせる為に。
すると、