オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
希和side
婚約パーティーが開かれるという都内のホテルに到着した私と京夜様
報道陣から何とか逃れ、辿り着いたのはとある1室。
綺麗な絨毯が敷かれ、綺麗な調度品や花々が飾られている。
京夜様を椅子に誘導し、私は彼の隣りに立つと。
真っ直ぐ見つめて下さる京夜様。
その瞳からは不安な色が窺える。
きっと、私も同じ瞳をしているに違いない。
彼の右手は私の左手をギュッと握りしめ、
左手はゆっくりと上昇して私の髪に辿り着く。
すっかり定着した私の左髪。
彼から貰ったヘアピンがあしらわれたそこは
彼の指先が触れる大事な場所。
肌の手入れと同じように
そこにも私の愛情が籠っている。
彼の指先がゆっくりと髪を撫でていると……。
――――コンコンッ
「………はい」
私達がいる部屋のドアがノックされた。
それは、彼と一緒にいれる時間の終わりを告げた合図。
否応無しにその時は訪れた。
私はパッと彼の手から自分の手を離し、
彼との距離を1歩置いた。
すると、姿を現したのは彼のお母様と御影にお仕えする人々。
御影邸で何度もお会いした事のある顔ぶれだ。
ホッと安堵した次の瞬間、お母様から思わぬ一言が告げられた。
「京夜悪いけど、席を外して貰えるかしら?」