オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
報道陣の前に今私が出て行けば、
京夜様の事を聞かれるに違いない。
今まで嫌というほど彼の傍にいたのだから、
取材班に私の面は割れているだろう。
お母様の心遣いに感謝しなくては……。
別人になりすまして、
このホテルから無事に脱出し、
彼の前から消えた時……………任務終了なのね。
彼の日常から私の存在が消えない事にはダメなんだ。
私は、残された任務を全うすべく
お母様がご用意下さった衣裳に着替える事にした。
使用人の方が手にしていたのは大きな箱。
その中に私が着る衣裳が全て揃っている。
あまりに大きな箱に違和感を覚えるが、
もしかしたら、着ぐるみかもしれない。
幾ら化粧をしても、髪型を変えても
きっと、カメラに映った私は………私。
顏は変えられない。
着ぐるみなら、顔どころか髪だって気にする事なく
このホテルから颯爽と消え去る事も可能だ。
人生初の着ぐるみ体験が
まさか、こんな日と重なるだなんて………。
私は唇をギュッと噛みしめて、
「宜しくお願いします」
1人では着られないであろう衣裳を目の前に
御影の使用人2人に頭を下げた。