オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「あのっ………息苦しいんですが………」
「ご辛抱下さいませ」
バッサリ言い切られてしまっては言い返せない。
降参の合図……タップを今すぐしたい心境だ。
「あのっ……重いし、歩き辛いんですけど……」
「ご辛抱下さいませ」
「………」
ダメだ。
やっぱり、完全に聞く耳を持ってくれない。
まさかまさか、こんなにも圧迫感があるだなんて……。
完全に放心状態の私は、
御影の使用人2人と共に
ホテル内の廊下をゆっくりと歩く。
エレベーター前には報道陣が待機しているというので、
従業員通路の階段を下る。
背筋を伸ばさないと転倒し兼ねない為、
必死に背筋を伸ばし、足下に気を付けて……。
いっその事、階段の上から転がして貰いたいくらい緊張する。
歩く事がこんなにも大変だと思った事は1度も無い。
「ご休憩なさいますか?」
「………いえ、大丈夫です」
「では、参りましょう」
「…………はい」
必死の思いで歩いて、漸く1階に辿り着いた。
階段口から外へ出ると………。