オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「京……夜………様?」
「ッ?!……希和っ!!」
ドアのすぐ目の前に………最愛の人がいた。
私の声に反応するように顔を上げた彼。
私と一緒だ。
嬉しさが瞳から溢れている。
すぐさま駆け寄って来た彼は、
長い腕で私をきつく抱きしめた。
すると――――、
「京夜様、お衣裳が崩れますので、何卒お控え下さいませ」
先程と変わらぬ口調で淡々と話す御影の使用人。
そんな彼女はある意味、御影に忠実と言える。
私は無意識に頬を緩ませると、
「貴様、使用人の分際で俺様に指図するなッ!」
「………申し訳ございません。ですが、奥様よりきつく言い遣っておりますので」
「フッ、ババァの犬めっ!」
京夜様の俺様ぶりは健在のようだ。
しかも、私以外の女性に対しての口調が冷酷すぎる事に
心の底から安堵を覚えた。
そんな彼の腕を優しく叩き、
私は自ら彼から少し間を取ると……自然と繋がれる指先。
しかも、ギュッと握るのではなく、絡み合うように。
そんな私に、京夜様は眩し過ぎるほどの笑みを浮かべ
「俺らは何処へ行けばいいんだ?」
「………こちらでございます」