オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
使用人の2人に誘導されたのは、
『婚約披露パーティー』と掲げられた部屋の前。
ドアの手前で会釈する使用人2人。
もしかしなくても、私達がこの中へ……?!
思わず、京夜様と顔を見合わせた。
「ご存知でしたか?」
「………いや」
「ですが………」
「希和の格好からすると、………そうなのか?」
ゆっくりと視線を落とす。
今、自分が着ている衣裳は………辻が花の振袖。
息苦しくて重いし、熱くて死にそうだったけど
もしかしたら……?と思って、
どうしても脱ぎ捨てる事は出来なかった。
慣れない着物姿で7階分の階段を進む事も大変だったけど、
完全に諦めきっていた私の心に再び淡い期待が芽生えていた。
そして、今――――――
私の目の前には彼がいる。
思わず見つめ合い、どちらともなく頬が綻ぶと、
『それでは、天宮凪彩さんとご婚約される方をご紹介致します!』
「はっ?」
「………へっ?」
ドアから漏れて来たアナウンスに
2人して―――――ドアの前で硬直した。
すると、
「では、京夜様……」
無表情の使用人が彼に入室を促した。
私は再び地獄の底へと落ちた気がした――――。