オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
押さえていた手を離すと自然と扉が閉まって行き、
あっという間に彼の姿が扉の奥に消えた。
終わった…………これで何もかも。
後はこの場から消え失せればいいだけ。
私は真横にいる2人に視線を移し、深々と頭を下げた。
「あの、お仕事だとは存じてますが、私が会場にいた事にして貰えないでしょうか?」
「はい?」
この目で見届けなくても、彼の生涯を邪魔するつもりは無い。
こうして、自分の手で彼を手放したんだから
もう………私に残される想いは……――――
下げた頭が上げられず、次第に瞳から涙が溢れた。
こんな惨めな想いをするなら、
この2人を無視して逃走すれば良かった。
女性2人を打ちのめすなんて3秒もあれば十分なのに
危害を加えようとする殺気のようなものが感じられず、
ついついその場に流されてしまった。
両手をギュッと握り合せると、
「希和様、お顔をお上げ下さいませ。私共は会場へ、お2人をお連れするようにと仰せつかっております」
「ですから……」
「中で、京夜様がお待ちですよ?」
「…………へ?」