オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


「希和さん、サンドイッチでも戴く?」

「あっ………いえ、大丈夫です」


お母様が気遣って下さった。

そんな些細な事が嬉しくて頬が綻ぶと、


「ん」

「へ?」


左隣の京夜様がフォークにローストビーフを乗せ

私の口元へ腕を伸ばして来た。


「きっ、京夜様っ!誰かに見られてしまいます////お手をお収め下さいませ」

「誰も見てねぇよ」

「ッ?!でっ、でも……」


私は右隣りのお母様に視線を向けると、


「誰も私達の事なんて気に留めてないから、周りは気にしなくていいのよ」

「ですが……」


正面に座るお父様に視線を移すと、


「希和さん、京夜の機嫌を損ねる方が私は心配だよ」

「えっ?」

「そうそう!こんな晴やかなお席で大暴れされる方が問題だわ」

「………っ」

「ん!」


お2人の言葉に便乗するように、

京夜様の声音がワントーン下がる。


………ホントにいいのかしら?


私はどうしていいのか解らず、白旗をあげた。

恐らく真っ赤になっているであろう顔をほんの少し彼に傾け、

そして、彼の手に自分の手を添えるようにして戴いた。



何物にも代えがたい、彼の愛の味がした―――――。


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