オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


あれ?………どこにもいない。

シャワーでも浴びてるのかと思い、

浴室のドアに耳を傾けても音が漏れて来ない。


「京夜様ぁ~?どちらにいらっしゃいますか~?」


声を掛けながら衣裳部屋であるウォークインクローゼットを覗く。

けれど、彼の姿は無かった。

一体、どこに行かれたのかしら?


ジョギングやツーリングに出掛ける際は声を掛ける人だから

きっと、自宅のどこかにいるのだと思うんだけど……。

ジム用の部屋やゲストルーム、シアタールームを覗いてみるが姿は無い。

困り果てた私は廊下をトボトボと歩いていると、


――――ガタッ


えっ?!

今、私の部屋から何か聴こえて来なかった?


最高峰のセキュリティーを完備しているこのマンション。

しかも最上階という特別な空間に立ち入れる事の出来る人間は限られている。

その最上階の1室から怪しげな音が聴こえて来たのは……気のせいではなさそうだ。


私はゆっくりと自室のドアを開け、ドアの隙間から中の様子を窺う。

けれど、パッと見、誰もいない。

私は恐る恐る室内に足を踏み入れ、

部屋の奥にある衣裳部屋へと向かった。


すると――――、


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