オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
彼の指先は胸元の開襟具合を覆い隠していたスカーフを解き、
三角にしたスカーフを胸元から後ろ首で交差させ、
そして、前に戻したスカーフの端を軽く結んだ。
それも、胸元の開襟具合に綺麗に合わせて……。
「この方が綺麗だろ」
「ッ////はいっ////」
彼はとても自然にクロス巻きを完成させ、
穏やかな笑みを浮かべながら私の髪を一撫で。
「行くか」
「はい」
腕時計をチラッと確認した彼の後を追った。
玄関で靴を履く彼をじっと見据えていると……。
彼はシューズルームへ姿を消した。
玄関の直ぐ脇にシューズルームがあり、
私達の靴はそこに収納されている。
戻って来た彼の手には―――――綺麗なブーティが。
「希和」
「?」
私の足下にそれを置いた彼は、徐にしゃがみ込んだ。
「京夜様?」
「………足」
「へ?」
足下で跪く彼が、片手を私の足下に伸ばして来た。
「履かせてやる」
「へっ?あっ、いや、自分で履けます!!」
ブンブンと顔を横に振ると、
「ん?……二度も同じ事を言わせんな」
「ッ………//////はい//////」
彼の指先が私の足首を捉え、ゆっくりと踵へと滑り降りた。
そして、彼の手の温もりを感じながらつま先を滑らせて……。
まるで、シンデレラみたいに――――。