オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
京夜様の愛車に乗り込み、
私達は隣市にあるショッピングモールへ行く事にした。
「あの、京夜様?」
「ん?」
「その、同業者の店舗に行かれても大丈夫なのですか?」
「フッ、そんな心配は無用だ」
「ですが……」
「今日は『御影京夜』では無く、お前の恋人として行くまでだ」
「ッ!!////」
「だから、気にするな」
「………はい////」
信号待ちの交差点。
不安が隠せない私の頭に、ポンと彼の手が乗せられた。
彼はどこにいても注目を浴びる。
財閥の御曹司というだけでも衆目に晒されるのに、
百貨店のライバルであるショッピングモールに赴くなんて……。
自分が言った言葉を今更ながらに後悔した。
『モール内をぶらぶらと、まったりデートがしたい』だなんて。
彼の立場を考えたら、決して口に出来ない事なのに……。
お酒に飲まれて口走っただなんて、ホント最悪。
彼の優しさに心がジンと熱くなる。
再びアクセルを踏む彼の横顔をじっと見つめていると、
「今日は、希和のしたいデートをするぞ?」
「へ?」
「1番初めは食事からな?向こうに着いたらちょうどお昼前だからな」
「は、はいっ!」
「何が食べたい?」
「そうですねぇ~?」
何気ない言葉のやり取りだけど、私達には新鮮過ぎる会話。
目的地に着くまで、私達は漸く恋人らしい会話を繰り広げた。