オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「希和遅ぇーよッ!変な害虫どもが群がって来たじゃねーか!」
「ごっ、ごめん……(なさい)」
シュンと肩を落とす私に手にしていたトレイを手渡すと、
空いた手で私の腰をスッと抱き寄せた。
「行くぞ」
「はい////」
目の前にいた彼女らの鋭い視線を浴びながら、
私は彼にリードされ歩かされた。
席に着いた私は周りを見渡し……言葉を失った。
だって、その席――カップルシートなんだもん!
生まれて初めて座るそこは、
少し高級感のあるベルベット素材のソファで
2人で並んで座っても十分過ぎるほど広々している。
ピザ専門店で食事をした際に
フロアガイドを見ながら呟いた一言。
『カップルシートがあるんですって』
そんな些細な事を気に留めて下さった事に嬉しさが溢れ出す。
「京夜様、ありがとうございます」
「なっ、何の事だ?」
「フフッ、いえ、何でもないです」
照れる彼の横顔を見つめて、改めて実感。
これが正真正銘デートなんだと……。
長い脚を折りたたむように組み、
背凭れに体を預けるように座る彼は、
腕を組んで私の足下に視線を向けた。