オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
京夜side
漸く訪れた……平穏な時間。
誰にも邪魔される事なく、
お互いの瞳に相手だけを映して……。
夢にまで描いた時間なのに
正直、どうやって過ごしたらいいのか分からない。
だって、好きな女性が傍にいてくれるだけで満足だから
俺はこれ以上、望むモノは無い。
だが、彼女は違うようだ。
晩酌の席でぽろっと呟いた言葉の中に
俺への不満が数え切れないほど滲んでいた。
確かにそうかもしれない。
今まで色んな事から我慢を強いられ、
自分の気持ちを後回しにして来た彼女。
俺と違って、不平不満でいっぱいだろう。
だからこそ、これからの人生は
彼女の遣りたい事を遣りたいだけ叶えてあげたい。
どんな些細な事も1つ残らず、俺がこの手で叶えてやるんだ。
彼女の口から洩れた『ショッピングデート』
ふらふらとショップ巡りをしたいらしい。
今すぐにでも叶えてやれる事が夢だという彼女に
俺は心の底から胸が締め付けられるほどに苦しくなった。
そんな他愛ない事すら言葉に出来ずに我慢させていたとは……。