オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
彼女と共に隣市のショッピングモールへと足を伸ばした。
敵情視察以外で敵地に乗り込むのは初めてかもしれない。
けれど、そんな事はどうでもいいんだ。
俺の隣りを歩く彼女が笑顔でいられるなら。
ショッピングモールへと向かう車内で他愛ない会話を弾ませた。
今まで、走行中の車内は無言に徹していた。
それは俺も彼女も。
運転に支障を来たすと思いそうしていたのだが、
“車内での会話は重要”とネットに載っていた。
恋愛初心者の俺にとって、
“イイ”と言われるモノなら何でも試そうと思う。
それくらい、プライドを捨てる事なんて大した事ない。
…………彼女のためなら。
目的地に着いた俺達は、少し早めの昼食を摂る事に。
ショッピングモール内をゆっくり歩き、
レストラン街へと向かう最中、
俺に愛らしい笑顔を向ける彼女に注がれる視線に気付く。
俺らと同じように恋人同士と思われるカップルの男が
希和に対して野獣のような視線を向ける。
それも、1人や2人じゃない。
ショップの店員まで希和に見惚れている。
「京夜様、見て~!あのスリッパ、凄い可愛い~♪」
「ん、そうだな」
無邪気に楽しむ彼女を今すぐ抱きしめたい。
奴らの視線から覆い隠したくて……。