オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
さっきまでキラキラと輝いていた彼女の瞳が
みるみるうちに陰って来たのは気のせいだろうか?
「京夜様」
「ん?」
「狡いです」
「何が?」
「モノトーンのイメージでしたけど、何色でも似合うだなんて……狡いです」
「フッ、俺様を誰だと思ってんだよ」
「なっ!………そうでしたね、私とした事が……」
彼女は俺の意外性を見てみたかったのかもしれない。
だが、俺がどんなカラーでも着こなせてしまうのが納得いかないのだろう。
仕方ないよな?
俺に着こなせない服は無い。
ショップ内をぐるりと廻り、試着コーナーの前に立たされた。
「京夜様、これに着替えて来て下さい」
「今?」
「はい、今」
「………分かった」
「では、終わったら声を掛けて下さいね?私はここにいますから」
「ん」
彼女が選んだ服を持たされ、試着室に押し込まれた。
仕方なく俺はそれに袖を通し、鏡に映る姿をチェック。
………悪くないな。
手触りの良いチェックのシャツに同系色のカシミヤのセーター。
襟部分のデザインが少し凝ってて、カジュアルだけどお洒落に着こなせる。
普段は絶対にチョイスしない“赤色”
ビビットな感じでなく、
少し落ち着きのある色合いが意外にも気に入った。
それに、既製品で俺のサイズに合うボトムスがある事に驚きだ。
まぁ、今時は長身の男も増えて来たしな……。