オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
彼女が選んだボトムスは、ブラックのデニム。
脚の長さが際立つようなスリムなデザイン。
今日の彼女の服に合わせたような感じだ。
もしかして、……そうなのか?
フッ、これをそのまま着て帰ったら
ちょっとはペアルックっぽいか……?
彼女が晩酌の席で零した言葉の中に
『ペアルック』というワードが存在する。
以前、俺が彼女が勤務する会社に迎えに行った際に見た
同じユニフォームを着た同僚の男のように
傍から見て明らかに分かるようなモノを着たいらしい。
彼女が“したい”というなら、俺は全然構わない。
だが、彼女は“イメージが崩れるので……”とも口にした。
まぁ、外では『御影』を背負ってるようなものだから、
それを彼女なりに気にしているのだろう。
確かに、俺が着て歩けば……
そのショップの広告塔と思われてもおかしくないからな。
「希和?………着替えが終わったぞ?」
試着室の中から声を掛けてみるが、彼女からの返答が無い。
俺はほんの少しドアを開け、外の様子を窺う。
けれど、試着室の外で待っている筈の彼女の姿が無かった。
……どこに行ったんだ?
俺は試着室から出て、店内をぐるっと見渡すと。
「ッ!!」
彼女はショップの店員と楽しそうに話している。
しかも――――