オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


ふっくらこんがり焼き上がった“お好み焼き”

皿の上で美味しそうな湯気を立たせている。


待ち切れんとばかりに箸を手にすると、


「あっ、待って下さい!!」

「んっ?」

「まだ食べちゃダメです!!」

「何故だ?」


次の生地を流し込んでいる彼女を尻目に

俺は焼きたての“お好み焼き”を頬張ろうとすると、

彼女から待ったの声が掛かった。


そして、手にしていた器を置いた彼女は、

俺の目の前で最後の仕上げを施す。


たっぷりと乗せられたソース。

その上にこれまた豪快にマヨネーズを。

さらにトドメの鰹節と青海苔をふりかけて……。


「はい、どうぞお召し上がり下さい」

「旨そうだな。………戴きます」


アツアツのそれを一口頬張り、自然と頬が綻んでゆく。



好きな女性が作ってくれたモノ。

生まれて初めて食べたモノ。

目の前で俺の為に作ってくれたというだけで、

何倍にも何十倍にも美味しく感じた。


すると、


「はい、京夜様」

「ん?」

「私にも焼いて下さい」

「はっ?……俺が?」

「はい、勿論です!」

「フッ、いい度胸してんな」

「あれ~?今日は、私の為のデートでは無かったでしたっけ?」

「っ………」


< 180 / 456 >

この作品をシェア

pagetop