オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
ふっくらこんがり焼き上がった“お好み焼き”
皿の上で美味しそうな湯気を立たせている。
待ち切れんとばかりに箸を手にすると、
「あっ、待って下さい!!」
「んっ?」
「まだ食べちゃダメです!!」
「何故だ?」
次の生地を流し込んでいる彼女を尻目に
俺は焼きたての“お好み焼き”を頬張ろうとすると、
彼女から待ったの声が掛かった。
そして、手にしていた器を置いた彼女は、
俺の目の前で最後の仕上げを施す。
たっぷりと乗せられたソース。
その上にこれまた豪快にマヨネーズを。
さらにトドメの鰹節と青海苔をふりかけて……。
「はい、どうぞお召し上がり下さい」
「旨そうだな。………戴きます」
アツアツのそれを一口頬張り、自然と頬が綻んでゆく。
好きな女性が作ってくれたモノ。
生まれて初めて食べたモノ。
目の前で俺の為に作ってくれたというだけで、
何倍にも何十倍にも美味しく感じた。
すると、
「はい、京夜様」
「ん?」
「私にも焼いて下さい」
「はっ?……俺が?」
「はい、勿論です!」
「フッ、いい度胸してんな」
「あれ~?今日は、私の為のデートでは無かったでしたっけ?」
「っ………」