オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
一年で一番最初の日を大好きな人と過ごした余韻に浸る事無く、
御影百貨店は怒涛の新春セールに追われていた。
そんな目まぐるしい日々も半月ほど経ち、
漸く落ち着きを見せ始めた頃………。
実家からの転送郵便で、一通の葉書が届いた。
夕食も済ませ、京夜様はシャンパングラスを傾けている。
そんな彼の右斜め横に腰を下ろし、葉書をテーブルの上に。
「あの、京夜様?」
「ん?」
「高校の同窓会が来月あるらしく、朱夏も行くと言っていたので、私も参加して宜しいでしょうか?」
ご機嫌伺いとばかりに、ほろ酔いになった頃を見計らっての切り出し。
だって、彼のお世話を放棄しての参加になる訳で……。
シーンと静まり返るリビングに、
シャンパングラスの気泡の音が妙に耳につく。
緊張のあまり生唾を飲み込むと、
「行きたいなら行って来ればいい。たまには羽を伸ばして来い」
「へ?………宜しいのですか?」
「フッ、俺を誰だと思ってる。そんなに器の小さい男じゃねぇよ」
「そっ………そうですよね~」
社内で他の男性社員と話そうものなら、
一瞬で石になりそうなレーザービームを発するから、
てっきり独占欲からくる束縛だと勘違いしていた。
私の自惚れだったのかもしれない。
許可を頂けて嬉しい筈なのに、心では淋しいと感じて。
そんな気持ちを悟られまいとカクテルを口にした。