オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
何故か2人とも無言のまま。
彼は視点が定っていないようで
ボーっと、ただ時が流れているのを感じている様子。
そんな静寂を打ち破るように
私は気になっている事を尋ねてみる事にした。
どう見たって、彼以外の痕跡が見当たらない。
それに、不衛生極まりない状態に目を瞑れるような人じゃない。
会社のデスクは埃1つ無いくらいのキレイ好きで
バイクや車だって、いつでもピカピカに磨かれている。
靴だって黒ずんでないし、服だって皺ひとつない。
そんな人があんな状況の中で生活していただなんて。
納得しようにも、どうにも頭が働かない。
だって、思考を巡らせても行き着く所はたった1つ。
……私の思い込みかもしれないけど。
聞きたい事は聞きたい時に素直に聞くのが1番だって、
前回の教訓から嫌と言うほど学んでいる私。
変に遠まわしでなく、
飾りっ気のない言葉ほど相手に伝わる筈だから。
私は意を決して口を開く。
すると、私の言葉に彼は明らかに動揺した。
「やはり、そうなのですね」