オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
そう言えば……。
京夜様のお誕生がもうすぐやって来る。
この仕事を受けた初日に頂いたファイルに記載されていた。
これまで沢山の物を頂いて来たのに、私は何一つ返せていない。
物には不自由されてないし、お金にも困っていない。
欲しい物があれば、ご自身で購入されるだろうし。
そもそも、私の趣味が彼に合うとも思えない。
かと言って、何も差し上げない訳にはいかないし……。
同窓会の件をどうやって切り出そうか悩んでいて、
すっかり忘れていたが、同窓会より先にお誕生日があるじゃない!
グラスを口にしたまま、グラスの縁越しに彼を視界に捉えると。
「不味かったか?」
「ッ?!」
眉間にしわを寄せ、心配そうに見つめる京夜様。
慌ててグラスから口元を離し、ブンブンと頭を振る。
「いえっ、とても美味しいです!ちょっと考え事をしていて……」
「同窓会……か?」
「いえ……違います」
私の返答に首を傾げながら困惑の表情を浮かべた。
男性にプレゼントした事が一度もないし、私1人で考えても埒が明かない。
私は正直に打ち明ける事にした。
「あのっ、京夜様」
「ん?」
「もうすぐお誕生日ですが、何か欲しい物とかございますか?」
「ッ?!」
「いろいろ考えたのですが、京夜様が欲しいと思うような物が思い浮かばなくて……。物にはお困りでは無いですし、高級志向の京夜様に庶民の私の趣味が合うとも思えなくて…………すみません」
声のトーンを下げると同時に視線も自分の手元へと……。
すると、