オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「誕生日か……。フッ、………ロクな思い出が無いな」
「へ?」
「御影の力を得ようとする輩の賄賂やら、俺の気を惹く為の貢ぎ物やら……」
「…………解る気が致します」
「俺は………希和が俺の為に選んだモノなら、何でも構わない」
「っ……」
お酒の力なのか、素の彼の心に触れる事が出来た。
私だって同じだもの。
彼が私の為に選んでくれたのなら、何でも嬉しい。
ううん、そうじゃない。
私の事を思って考えてくれるだけで嬉しい。
お忙しい京夜様が、その合間を縫って私の事を思ってくれる事が嬉しいから。
「では、私なりに考えてご用意致しますね」
「ん、あまり気にしなくていいぞ。歳も歳だし、祝う歳でも無いしな」
彼の言う通り、祝って貰って嬉しい歳ではないかもしれない。
でも、一年で一番素敵な日を一緒に過ごす事が大事だから。
私は胸の痞えが取れ、スッキリとした笑顔をみせた。
「それより、同窓会ってのは、どこでするんだ?」
再びグラスに手を伸ばしながら、彼は口を開いた。
隠す事でもないし、彼には何ひとつ嘘を吐きたくない。
今まで『女』を偽っていたり、『好き』だという自分の気持ちにも素直になれなかったり。
それらが、私達の間に溝を作ったり壁を作ったりしたのは事実だから。
これからは、素直に何でも話そうと思った。
その後は、同窓会の事や誕生日の日に食べたい物があるかなど、久しぶりに沢山の話をした。