オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
2月に入り、節分、バレンタイン商戦が終わり、
催事場はあっという間にホワイトデー用に様変わりしていた。
そんな中、Ⅹデーとも言える週末を迎えていた。
「京夜様、そんなに遅くならずに戻りますので……」
「俺に気を使うことはない。久しぶりの再会だろ?ゆっくりして来い」
「でも……」
希和は不安そうに俺を見つめた。
彼女の事だから、きっと食事の心配でもしているのだろう。
そんな彼女の優しさに心が温かくなる。
「食事なら外で済ませるし、俺を誰だと?」
「………」
「何だ、その不服そうな顔は」
「そう……ですね………」
希和は瞳をほんの少し潤ませ、視線が足元へと落ちてゆく。
「言いたいことがあるなら、ハッキリ言え」
「………」
「希和」
少しトーンを落として彼女を見下ろすと、
「京夜様は、私がいなくても大丈夫なのですね………」
「は?」
「私は………、ずっと京夜様のお傍にいたいです」
「っ………」
何を言い出すかと思えば……。
彼女には一生勝てない気がする。
今日の彼女は同窓会仕様にお洒落をしている。
共学だとは聞いていたから、
俺以外の男の為に着飾ったのか?と思うと心底腹立たしくもなるが、
だからと言って顔に出す訳にもいかない。
そんな器の小さい男だと思われたら最悪だ。
俺は目元を緩めて、彼女をそっと抱きしめた。