オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「……そうだな。ココを少し太めにして、コレをココに……」
「こちらをココにですね?」
「あぁ。……で、中央はコレで頼む」
「承知致しました」
「いつ頃に出来上がる?」
「……そうですね、来月下旬頃までには」
「中旬」
「ッ?!」
「中旬までに仕上げろ」
「っ……、…………できる限り善処致します」
昼食を済ませた俺は、部屋で打ち合わせをしている。
こういうやり取りは嫌いじゃない。
相手の焦る仕草や泳ぐ視線を眺めるのも一興。
一般的に俺みたいな性格の男は、まぁ好かれないだろうな。
けれど、仕事に対して真摯な姿勢がある奴は、必ず成果を出してくる。
そういう出来る奴らと俺は仕事がしたい。
一先ず、最大の難所はクリアした。
次に迎えるのは、長期戦になる相手。
この先、何度も顔を合わせねばならない。
しかも、担当者が男と女。
顔を合わせる度に、あらぬ方向に向かわないか、気が気でない。
父親から引き継ぐ仕事も増える中、
担当者を替えてまで打ち合わせするような時間は、俺には無い。
すべてに於いて、スマートにこなしたい。
手帳に視線を落としながら、珈琲を口にした。