オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
希和side
「もしかして、松波さん?」
同窓会が開かれるホテルの会場で、
朱夏と仲の良かった友人達と話していると、
如何にもアタシ様(俺様の女版)が目の前に。
胸元まである長い髪は緩やかに巻かれており、
高級ブランド服を全身に身に纏う彼女。確かに見憶えがある。
「希和、………B組の葉山さんだよ」
「………ん」
葉山さん……。
男子生徒だけでなく、若手の男性教諭にまで色目を使うと有名だった……人。
一度も同じクラスになった事がなかったから、
一度も直接会話した事がなかった。
噂には聞いてたけど、見た目はかなりのキレイ系だわ。
朱夏曰く、性格は最低だと……随分と前に聞いてたっけ。
5人で会話していた私たちの輪の中にスッと入り込んで来た彼女。
一瞬で鼻を突くような香水の香りが漂って来た。
朱夏なんて、彼女に見えないような角度で嫌悪感を露わに。
殆ど面識がないと言っていい程の彼女だけど、一応同級生だし。
ここは大人な対応をしないと……ね。
「……えぇ、松波です。相変わらず、おきれいで……」
半分引き攣りそうな顔を無理やり繕って。
彼女は私の言葉に気分を良くしたようで、一瞬で上機嫌に。
そんな彼女の表情を背中で汲み取った朱夏は、
“相手にするな”と言わんばかりの表情を浮かべた。