オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
【プロローグ】 京夜side
忘れよう……忘れろ、忘れるんだと
何度も何度も必死に
自分自身に言い聞かせたのに
目の前に現れた彼女を見た途端、
胸の奥から溢れ出した。
――――『愛おしい』という感情が。
怯えるような潤んだ瞳。
何かを訴えたがっている口元。
切ない表情の中に
何か別の感情が織り交ざっているような……。
そもそも、一体いつからここにいるのか。
今日はここ数日でも特に冷え込んだ夜なのに。
そして、彼女の瞳から真珠の雫が零れ落ちる。
また、彼女を泣かせてしまった。
俺は彼女を笑顔にする事は出来ないのだろうか?
やっとの想いで気持ちの整理をつけたというのに
彼女が発した、たった一言で
俺の決意など簡単に根底から覆る。
彼女を手放して何度も後悔した。
最後に抱きしめておけば良かったと。
俺は恐る恐るそっと彼女に触れて、
そして、…………気付いてしまった。
体中から溢れんばかりの想いを……。
―――――二度と手放したくはないと。
例え、世界中を敵に回したとしても
彼女だけは何があっても手放したくない。
俺の胸に寄り添う彼女に
永遠に愛を注ぎ続けると心に誓った―――――