オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
思わず口に出てしまうほど、視線の先に捉えてる人が似ている。
………あの人に。
肩幅、腰の位置、脚の長さ、腕の組み方まで。
毎日ずっと傍にいるせいか、影だけでも分かる。
ううん、違う。
大好きな人だから、目が、脳が、心が反応する。
でも、なぜ……この場所に?
足の裏が床にピタッとくっついているかのように動かない。
まるで金縛りに遭っているみたいに。
視線も外せず固まっていると、支配人が私の視線に気付いた。
彼は軽く会釈し踵を返し、その場を後にした。
そして……。
あの人に酷似している男性もまた、足早にその場を去って行く。
まるで、私から逃げるかのように。
「希和?………どうかした?」
「っ……ううん、何でもない」
私を探して通路に出て来た朱夏に、そっと肩を叩かれた。
朱夏に話したところで、どうなることでも……ないよね?
「トイレに行こうかと思ったんだけど、もう少し経ってからにする」
「なにそれ……」
「さっき数人の子が出て行ったから、多分今行くと混んでると思って」
「あぁ……なるほどね」
咄嗟に簡単な言い訳をして誤魔化した。
別に隠す事でもないんだけど。
朱夏と共に部屋に戻ると……。