オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
彼に手を握られ、室内へと戻ると。
「温まるモノでも作ってくるから、座ってろ」
「………はい」
優しい眼差し、穏やかなトーン。
そして、これ以上ない程に紳士的な彼。
口調は俺様だけど、仕草一つ一つが紳士的で胸がキュンキュンと疼く。
ソファにエスコートする際も私の足下を常に気にしていて。
ソファに腰を下ろせば、そっとひざ掛けを掛けてくれる。
こんなにも女性扱いされると、彼に愛されているんだと実感出来る。
薬指に輝く指輪を指先でそっと撫でる。
私には贅沢すぎる幸せだわ。
キッチンでカクテルを作る彼の横顔を見つめながら、
胸の奥に燻っていた感情が晴れていくのが分かった。
世間に公表される事を望んでいた訳じゃ無い。
彼に、京夜様に、選んで貰いたかった。
この先の未来に、私との時間を共に歩む決心を。
朱夏が言ってたっけ。
不自由のない贅沢な生活や誰もが羨む地位を手にしたとしても、
形ばかりで中身が無ければ意味がないと。
心から彼に求められてこそ、幸せなんだと。
空手の国際大会で優勝した時よりも、
大学を首席で卒業した時よりも嬉しくて…。
『彼は恋人として、何点なの?』って、朱夏に聞かれて即答出来なかったけど、
今ならちゃんと答えられる。
彼は…、京夜様は……、
誰かと競うだなんて恐れ多い。
完全無敵のパーフェクト男なんだと。