オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「これをいつ、どうやって渡せばいいんだ?」
「え?」
俺の質問に母親の方が唖然としている。
「だから、どのタイミングで渡せば……?」
今まで恋人を作った事がないのだから仕方がない。
彼女の両親に挨拶をする機会なんて無かったのだから。
「京夜」
「何だよ」
「それ、本気で言ってるの?」
「あ?」
「どのタイミングって、お宅に伺って一番最初に渡すに決まってるでしょ?帰る間際に渡してどうするのよ!これは、うちからのほんの気持ちなんだから……」
「………ん」
母親の言ってる意味が分からない訳じゃない。
俺だって、常識が無い訳じゃない。
だけど………。
次々に積み込まれる品々。
自社(御影百貨店)の包装紙に包まれた物やシルクの風呂敷に包まれた物。
トランクには発泡スチロールの箱が詰まれ、
後部座席には桐箱まで積み込まれ、
助手席には超特大の胡蝶蘭まで……。
俺を宅配の人と勘違いしてねぇか?
やれやれと半ばあきれ顔で見ていると、
「遅くならないうちに行きなさい」
「あぁ」
母親の言葉で急に緊張し出した。
奥歯をギュッと噛みしめ、生唾を飲み込んだ。