オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
空いた器の代わりに、
豆腐となめこの味噌汁と炊き込みご飯、
そして、硝子の器に盛られたフルーツがテーブル上に。
既にお腹が満腹に近い状態だが、
やけに食欲をそそる香りが鼻腔を擽った。
「これは………?」
「みつせ鶏の炊き込みご飯です。召し上がった事は……?」
「………ない」
「それは良かった」
「京夜さん、冷めないうちにどうぞ」
「すみません。お先に戴きます」
彼女の父親はまだ飲むようで、
空いたお銚子を手に母親はキッチンへと。
この炊き込みご飯、筍とごぼうがいいアクセントになってて旨いな。
あごだしがみつせ鶏のだしと合わさって、絶妙な味に仕上がっている。
料亭顔負けの味だ。
お腹いっぱいだという事も忘れ、
気付けばペロッと平らげてしまった。
「京夜様、大丈夫ですか?」
「………大丈夫に見えるか?」
「…………いえ」
苦笑する希和。
そんな俺らのやり取りを微笑ましく見守るご両親。
何てことないやり取りだが、この上なく幸せだ。
こういう幸せな時間ほど、時が経つのは早いもので……。