オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
両親と共にホテルのスタッフが現れ、結納が執り行われる部屋へと移動する。
大きなシャンデリアとボルドーカラーがアクセントの絨毯の個室。
大正時代の貴賓室をイメージされたその個室には、
既に準備が施され、後は両家が座るだけとなっていた。
緊張で押し潰されそう。
無意識に胸に手を当て、何度も深呼吸をする。
無事に終わった情景を思い浮かべて気持ちを落ち着かせていると、
ご両親と共に彼が姿を現した。
そして、各々定位置に腰を下ろし、にこやかなムードの中……。
「只今より、御影様松波様、ご両家様のご結納式を始めさせて頂きます。ご子息のお父様、始めのご挨拶をお願い致します」
進行役のスタッフが会釈すると、
京夜様のお父様が挨拶の言葉を述べ、
お母様が結納の品を手にして、私の前に静かに置いた。
「ご縁組みの印として、結納の品々を納めさせて頂きます。目録をお改めの上、幾久しくお納め下さい」
ご両親揃って丁寧に頭を下げた。
私は震える手で目録を手に取り、改める。
そして……。
「幾久しくお受け致します。有難うございました」
指先だけじゃない。
声まで震えて……。
空手の世界選手権なんて比じゃない。
今にも口から心臓が飛び出そうなほどだ。
あまりにも恥ずかしくて俯き加減になると、