オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
パーティー会場は1800名収容可能な大広間『牡丹』の間。
各界・関係各所の招待客がおよそ1500名。
御影の姻戚関係が100名程度。
著名人も多く、さすが御影の婚約披露と言うべきか。
私の姻戚関係や友達なんて、全員合わせたって十数名。
世界が違い過ぎて話にもならない。
先月招待客の名簿を見た時、思わず絶句したもの。
そんな上流階級の人達の前に立つだなんて……。
私、本当に大丈夫かしら?
急に震え出す足。
感覚があまりなく、意識を集中しないと転んでしまいそう。
普段着慣れない格好だから、
それこそ気を引き締めて行動しないと……。
控え室でスタッフと打ち合わせ中の彼の横顔を眺めながら、
私は必死に自分に言い聞かせていた。
『婚約披露パーティー』と言っても、
特別何かをする訳ではない。
雛壇に歩み進めてお辞儀をし、後は招待客と挨拶をするだけ。
冒頭の5分間は写真撮影があり、
その後はマスコミは一切シャットアウトしての会食となる。
質疑応答等はなく、事前にマスコミ宛に通知してある為、
大規模な食事会?余興無しの披露宴??
とでも思えば……と、京夜様に言われた。
それでも、緊張しない訳がない。
だって、大勢の人の注目の的になる訳だし、
写真撮影だって初めての事だし……。
どんな顔をしたらいいのか、それさえも分からない。
モデルでもなければ、芸能人でもないんだから。