オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


何をどうしていいのか分からず、必死に彼にテレパシーを送る。

『驚かせてごめんな』的な言葉を。


そしたら、『……いいえ』的に

さり気なくこの場をやり過ごせる……そう思った。

けれど―――――。


「寒いか?」

「ッ?!………ふぇっ?////」


期待していた言葉とは全然違う台詞に

思わず肩を震わせ、間の抜けた声が漏れ出した。



ひんやりとした彼の手が優しく額に触れる。

『寒いか?』+『額に手をかざす』=体温の確認


私が長時間玄関前で蹲っていた事を気にして

きっと、風邪でも引いたのだと思ったに違いない。


ちょっとやそっとで倒れるような軟な身体では無い。

長年鍛えて来たこのボディ、風邪なんてモノには無縁だ。



けれど、彼のそんな行動1つでも嬉しくて堪らない。

だって、それって、私がか弱く見えるって事だよね?

女性として扱ってくれているって事だよね?


それだけで嬉しくて……。

カーッと顔が熱くなっていくのが分かる。



好きな人が傍にいて、男みたいな身なりでも

ちゃんと『女性』として見てくれる。

もうこれ以上の事はないよね??


倖せを全身で噛みしめていると、


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