オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
京夜side
結納前日、彼女の実家にて初めての会食。
それまで挨拶もきちんとしてなかった為、
28年の人生で一番緊張した。
俺の為に人生を懸けて生きて来たと言っても過言ではない彼女。
そんな彼女を結婚前から自宅に軟禁しているのと同じだし、
何より、挨拶に行けない距離では無かったのに
一度も顔を出した事がなかったという事実が重くのしかかった。
けれど、そんな俺を無条件で歓迎してくれた。
初めて味わう“家族”の時間。
俺が味わって来た家族の時間は偽物かと思うくらい
彼女のご両親との時間は幸せなひと時だった。
この先、こんな幸せな時間が永遠に続くのかと思うと
本当に言葉に出来ないくらい感謝の気持ちでいっぱいだ。
………希和に。
初めて酌み交わす酒の席で、断る理由が思いつかなかった。
いや、違う。
大事な一人娘の相手として、
許して貰うには断る事は出来ないのだから……。
気付けば、飲み慣れない日本酒を3合も空けていて、
緊張も相まって完全に吞まれてしまった。
帰りは代行で帰宅したが、
地下駐車場からの記憶が全くない。
次に意識を取り戻したのは、
翌朝6時にアラームで起きた時だった。