オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
ホテルでは殆ど口に出来なかったから、
漸く食事にありつけた感じだ。
彼女が手早く蕎麦を用意してくれた。
彼女程ではないが、俺も多少緊張していたようだ。
帰宅したと同時に疲労感が出て来たのだから。
サッパリとした蕎麦を口にしながら、
少し離れたところにあるテレビに視線を向けると、
予想してた通り、俺らの事が話題にあがっていた。
「わわわわわわわっ、私がっ、映ってます!!」
「ん、だな。俺も映ってるけどな」
希和の顔が画面いっぱいに映っている。
俺はこういう状況に慣れているけど、
彼女にしてみればこれが初めてなのだから仕方がない。
彼女が普通の生活が送れなくなるのは申し訳ないが、
俺は心の底から満たされていた。
これで、彼女を狙う輩を予め排除出来るのだから。
『御影』に生まれて初めて良かったと思える。
誰一人として、彼女に近づく者は許さない。
これが独占欲というものなんだろうな。
今まで欲を出さなくても何でも手に入れて来た俺にとって、
俺が初めて欲を出したのが彼女だった。
あんぐりと口を開けたまま、
テレビに映る自分に見入っている彼女。
「食べないのか?」
「……………」
完全に放心状態のようだ。