オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


驚きながらも俺の言葉に嬉しそうな表情を見せる彼女。

はにかんだ顔は特別可愛くて、誰にも見せたくないと思ってしまった。


「今夜は俺の部屋で寝るか?」

「ッ?!ごっ、ご冗談を!大丈夫です!結構です!!ご心配には及びません!!自分の部屋で寝ますから!」

「フッ、遠慮しなくてもいいのに」

「べっ、別に……遠慮なんてっ、してませんからっ!!」

「そうか?」

「はいっ!!」


かまをかけたつもりだったが、

予想以上に可愛い反応を見せてくれた。

思わず、俺の悪魔心に火がついてしまった。


「正式に婚約したんだし、何の問題も無い筈だが?」

「っ……あああああ、あっ、ありますとも!!」

「何が?」

「こっ、婚約したからと言って、けっ、結婚した訳ではありませんから……」

「だから?」

「そそそそっ、そういう事は…………きっ、きちんと………ふっ、夫婦になってからでないと……」

「フッ………」


恋愛に疎いのは俺だけではなさそうだ。

彼女の素直過ぎる反応が面白くて、つい虐めてしまった。

涙目になりながらも、

どこか嬉しそうな表情をする彼女の髪をそっと撫で……。


「そうだな。焦る必要はどこにもないしな」

「そっ、そうですよっ!!」


俺の言葉にホッと安堵した様子の彼女。

そんな彼女の耳元にそっと呟いた。


「お楽しみを先延ばしにするんだから、期待していいんだよな?」

「ふぇっ?!!!」


鳩が豆鉄砲をくらったみたいな顔して、俺を見上げた。


「フッ、冗談だ」

「なっ?!」


< 258 / 456 >

この作品をシェア

pagetop