オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


何をどう考えても、納得のいく答えには辿り着かない。

同じ形状の封書がこの半月で5通ほど届いてた筈だから、

これ以外の封書にも写真が入ってたのかしら?

確か、封書はぺらんぺらんで薄いし軽かった。

私はよくある切り抜きで出来た脅迫状のようなものかと思っていた。

まさか、自分の写真が入ってるなんて……。



見えない敵の相手に怯えても仕方がない。

闘う術が導き出せない以上、今ここで動揺してもどうにもならない。


私は深呼吸して、写真を封筒に戻した。

そして、何事も無かったようにゴミ箱に捨てようとしたが、考え直した。


京夜様はこれを必要としてないけれど、

今後の為に証拠として保管しておく事が最善と思えたからだ。


自分で自分の写真を保管するって、

何だかおかしな話だけれど、仕方ないわね。


私は机の上を片付け、封筒を手にして自席へと。

そして、机の引き出しの底にそっとそれを隠した。





それから数日が経ったある日。

再び同じ形状の封書が届いた。

京夜様は眉間にしわを寄せながらも、開封せずにゴミ箱にそれを……。

さすがに、しつこく送られてくるそれを不快に感じるようだ。

だが、決して開けようとはしない。

きっと、彼には信念のようなものがあるのだろう。


京夜様には“脅し”は通用しないという事が分かっただけでも、ちょっと嬉しく思えた。


< 265 / 456 >

この作品をシェア

pagetop