オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「行きたい所があるか?」
「へ?」
突然聞かれても返答に困る。
行きたい所?
何でまた急に??
彼の意図するところが分からず、唖然としていると。
「………ん……ん………旅行だよ」
「…………ぇええええっ?!」
消え入りそうな声だったから聞き逃しそうになったけど、
確かに“新婚旅行”って聞こえた気がする。
いや、間違いなく、聞こえた!
もしかしなくても、行き先を私が決めていいって事?
「私が決めてもいいのですか?」
まさかまさか、旅行先を尋ねて貰えるだなんて思ってもみなかった。
いつもいつも私は彼の意に沿うだけ。
服だろうが、靴だろうが、何だって。
こんな風に希望を聞かれる事なんて今までにあったかしら?
動揺を隠しきれない。
初めての事だから余計かもしれないけど、
彼の優しさが伝わって、心から愛されてると感じられる。
無意識にキョロキョロと、視線をパンフレットに向けていると。
「決めていいとは言ってない。行きたい所があるかと聞いただけだ」
「へ?」