オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
何よ、それ。
ぬか喜びして損しちゃったじゃない。
京夜様は何度も海外旅行してるだろうけど、
私なんて国際大会や強化合宿以外で行った事もない。
観光する時間なんて無いし、
強化合宿なんて山奥の山奥だもん。
観光とは程遠い場所しか行った事がない。
溜息を零しながら、恨めしそうに彼を見る。
すると、
「行きたい所のパンフレットを全部持って来い」
「別にいいですよ」
不貞腐れた感じにちょっと意地悪っぽく答えると、
「いいから、持って来い」
「…………はい」
意外にも少し照れた感じの京夜様。
視線を泳がせ、チッと舌打ちまでして……。
貴重な京夜様が見れただけでも有難いけど、
結婚式の日取りも決まってないのに
何故急に“新婚旅行”なんて言い出したんだろう?
不思議に思いつつも、苛立ち始めた彼に逆らう事は危険だ。
脳内が瞬時に判断したようで、体はすぐさま反応した。
旅行する季節にもよるけど、やっぱり暖かい所がいいかなぁ。
あれこれ悩みながらも、“全部”と言ってた事を思い出し、
私は数冊のパンフレットを手にして彼の元に戻った。