オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
あぁ~倖せ、倖せ過ぎる~~。
大好きな人の傍にいられるだけでいいと思っていたのに、
こんな風に抱きしめて貰えて、
しかも、キ……キスまでされてしまった。
数時間前までは凍えそうだった身も心も
今じゃ、こんなにもポカポカだ。
私は心の底から幸福感を味わっていて、ふと気が付いた。
京夜様は私の事、どう思ってるのかしら?
そもそも、私が護衛の任を賜ったのだって
始めから仕組まれていたようなものだし……。
か弱き乙女と自由な時間を奪われた事に関しては文句も言いたくなるけど、
別に武術が嫌いな訳じゃ無いし、お料理もお掃除も好きな方だ。
だから、好きな人のお世話をするのは決して苦では無い。
いや、むしろ光栄とさえ思える。
大好きな人の傍にずっといられて、
いつでも無条件で愛情を示す事が出来るのだから。
だけど、京夜様はきっと違う。
『私』という存在をつい最近まで知らなかった。
親が仕組んでいたとは言え、
彼にとったら要らぬ存在なのかもしれない。
25年の歳月を自分の為に費やして来た女など
きっと重荷に過ぎない筈だ。