オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
商品の陳列場所は当然把握している。
売り場のマネージャーがすぐさま自分が案内すると申し出たが、
お客様が尋ねたのは、この俺だ。
俺が御影の御曹司だからとかそんな事は関係ない。
お客様からしたら、店の従業員の一人に過ぎないだろう。
そんな俺が誘導している間、希和は商品補充に専念していた。
その後、売り場をチェックしながら指示を出す。
勿論、休憩から戻って来た担当者には一喝して。
解雇する事は容易い。
だが、それでは人材が育たない。
上に立つ立場の人間として、
売り上げを伸ばす事以上に難関の課題だ。
* * *
無事に創業祭も終え、漸く一息つけるようになった。
両親から結婚の日取りを決めなさいと催促され、
本格的に準備を始める事となった。
希和と話し合い、式と披露宴を別の日にする事にした。
一つ一つ俺らの手で準備をする事に。
両親や執事に任せれば、明日にでも式が挙げられるが、
一生に一度の結婚式だ。
二人で納得のいくものにしたい。
それは俺が御曹司という事を抜きにして、
一人の男として彼女を幸せにしたい。
彼女が望むものならば、どんな事だって叶えてあげたいから。