オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
店の裏手にある駐車場に車を止め、彼と共に店内へと。
入口の扉を開けると、店内だというのに屋外を思わせる日本庭園の造り。
あまりの美しさに見惚れていると、スタッフが姿を現した。
その装いも店内の雰囲気に合わせ、二部式の和服姿で。
京夜様は名前を告げ、スタッフの誘導に従い奥の間へと……。
もしかしなくても、予約してあるらしい。
こんな格式高いお店、恐らく、一見さんお断りのお店だろう。
先日、京夜様が雑誌のインタビューを受けた。
その雑誌に高級飲食店特集が載っていて、
このお店はその特集に掲載されていた。
私の好物の専門店とあって、つい興奮した記憶も新しい。
京夜様の優しさが伝わってくる。
私の言葉を覚えていて下さったなんて……。
私なんて、彼の為に何かした事があるだろうか?
彼なら、行きたいお店だって好きに行けるし、
欲しいものなら何でも手に入る。
私が手を施さなくても、彼は常に満たされている筈だもの。
これといって、何か食べたい物でもあるのかしら?
いつも聞かれるばかりで、彼が本当に食べたい物なんて想像もつかない。
彼の傍にいる資格……まだまだ未熟だわ。
彼の後を追い、突き当りの間に到着した。