オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
海外の試合や合宿生活がある時は、いつもお米を持参する。
炊飯器がなくても、鍋があればご飯は炊ける。
やっぱり日本人は、和食を食べないと集中力に欠けるみたい。
それでもやっぱり、どうしても食べたいと思うのが“豆腐”
今じゃ、真空パックの豆腐が海外でも手に入るけど、
私が学生の頃はまだ貴重な品だったから。
豆腐への執着は人一倍なのかもしれない。
私の意外な一面を見て、彼は満足そうに微笑んでいた。
店を出て、京夜様の運転で近くの公園へと向かった。
清々しい陽気のお陰で、公園には沢山の人が訪れていた。
「乗るか?」
「へ?」
「………あれに」
「…………っ?!」
少し早めに昼食を摂ったお陰で、ちょうどボート乗り場が空いている。
今だ!と言わんばかりに彼は私の手を取り、やけに楽しそうに歩き始めた。
「本当に乗るのですか?」
「あぁ、嫌か?」
「あっ、いえ。………乗ってみたいです」
「もしかして、乗った事がないのか?」
「はい。京夜様はあるのですね」
「いや」
「え?」
「俺もない」
「……………プッ」
自信ありげに手を引くものだから、てっきり経験者かと思えば。
彼も手漕ぎボートには乗った事がないらしい。
私と京夜様は、初めてのボート体験をした。