オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


海外の試合や合宿生活がある時は、いつもお米を持参する。

炊飯器がなくても、鍋があればご飯は炊ける。

やっぱり日本人は、和食を食べないと集中力に欠けるみたい。


それでもやっぱり、どうしても食べたいと思うのが“豆腐”

今じゃ、真空パックの豆腐が海外でも手に入るけど、

私が学生の頃はまだ貴重な品だったから。

豆腐への執着は人一倍なのかもしれない。


私の意外な一面を見て、彼は満足そうに微笑んでいた。


店を出て、京夜様の運転で近くの公園へと向かった。

清々しい陽気のお陰で、公園には沢山の人が訪れていた。



「乗るか?」

「へ?」

「………あれに」

「…………っ?!」


少し早めに昼食を摂ったお陰で、ちょうどボート乗り場が空いている。

今だ!と言わんばかりに彼は私の手を取り、やけに楽しそうに歩き始めた。


「本当に乗るのですか?」

「あぁ、嫌か?」

「あっ、いえ。………乗ってみたいです」

「もしかして、乗った事がないのか?」

「はい。京夜様はあるのですね」

「いや」

「え?」

「俺もない」

「……………プッ」


自信ありげに手を引くものだから、てっきり経験者かと思えば。

彼も手漕ぎボートには乗った事がないらしい。



私と京夜様は、初めてのボート体験をした。


< 280 / 456 >

この作品をシェア

pagetop