オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
ボート体験を楽しんだ私達は、公園内をぐるりと散策した。
駐車場に戻ると、彼は含み笑いを浮かべながら運転席へと乗り込んだ。
「もう一か所行きたい所があるんだが、少し遠いぞ。構わないか?」
「はい、勿論です」
「フッ、それじゃあ、もう少し付き合って貰おうか」
とても優しい眼差しで頭をポンポンされた。
彼の傍にいられるなら、どこだって構わない。
無人島だろうが、喜んでついてゆくわ。
行き先も分からないデートでも楽しくて堪らない。
彼と過ごせるというだけで……。
久しぶりの遠出。
このところマスコミの目を気にして、
自宅と仕事場の往復しか出来なかったから、何だかとても新鮮な気分。
元々、デートらしいデートだってそう回数は多くない。
世の恋人同士なら、休みの度にデートしたっておかしく無いよね?
ううん、違う。
休みじゃなくたって、仕事帰りに待ち合わせする事だってあるもの。
だけど、私達はずっと一緒だから、
待ち合わせする事も無いし、毎日自宅デートしてるのと同じだもの。
こうして、遠出したりしないと“デート”気分が味わえないだなんて、贅沢過ぎるのね。
毎日一緒にいる事に麻痺してきて、
彼と過ごす時間を軽んじてる自分がいる。
ダメだわ、私ったら。
こんな風に傍にいられる事も、彼に微笑んでもらえる事も
心の底から神様に感謝しないと……。