オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「……わ、…………希和」
心地よい声音がして瞼を開けると、
目の前に愛おしい人の姿があった。
「希和にしては、珍しいな」
「っ……」
そうだ!
今日は彼と遠出していたんだわ。
彼が“少し休むといい”と言うものだから、
ついついお言葉に甘えて目を閉じていたら、完全に寝てしまった。
恥ずかしさを隠すように前髪を触るふりして、起き上がる。
そして、先に車を降りた彼の元へと。
着いた先は国内でも有名なテーマパーク。
昨年のデートスポットランキングで1位を獲得した場所。
テレビで観て、一度は行ってみたいと思っていた。
既に日が傾き始めていて、東の空が茜色に染まっている。
そんな夕空を背に入場口へと歩いて行くと。
「へっ?」
おかしい。
これって、もしかして……。
行楽シーズンの週末と言えば、大勢の人で賑わっている筈なのに。
駐車場もパーク内も人影がない。
いるかと思えば、テーマパークのスタッフのようだ。
「京夜様」
「………ん?」
「来園客は2人だけのようですね」
「フッ、…………かもな」
彼の意図が分かった私は、天邪鬼な言葉を口にした。
すると、澄ました顔でスッと手を握られた。