オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「来月行われる新ターミナルの竣工式だが……」
「それって、国際線の新ターミナルの事ですよね?」
「あぁ」
「それが、どうかされたのですか?」
「う、うん。………実は、その竣工式に俺のパートナーとして希和も……」
「えっ?」
「すまない。まだ正式な夫婦ではないが、既に周知の事実だからと、父親が手を回したらしい」
「………そうですか、分かりました」
彼が一緒なら大丈夫。
公の場に出る事はこの先、嫌でもやって来る。
だから、それがほんの少し早まっただけじゃない。
心配そうな表情を浮かべる彼。
そんな彼を安心させようと、私は笑顔を作って見せた。
新ターミナルを建設するにあたって、
御影が莫大な資金を寄付した為、
竣工式に特別来賓として招待されているのは知っていた。
まさか、自分の名前があるとは思いもしなかったけど。
ものは考え様よね。
彼の護衛をすると思えば、何てことない。
着ている服が、ちょっとばかり豪華になったと思えば……。
私は必死に自分に言い聞かせ、心を静めていた。
30分程の花火も終わり、再びゴンドラが動き出した。
ゴンドラから地上に降り立った瞬間、
夢のような時間も終わりを告げたのだと、そう思っていたのに……。
「へっ?」