オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
すっかり日が沈み、園のライトも消された今。
私達の目の前の車にだけ、照明が当てられている。
間違いなく、私を感動させようとした演出で。
私達が乗って来た京夜様の車はいつの間にか無くなっていて、
その代わりに新しい車が一台。
ライトアップされているとはいえ、色は暗め……?
ブラック?……それとも、ネイビー系かしら?
艶光があり、重厚感がある。
コンパクトと言えども、高級車なのには変わりがない。
私の貯金をはたいても買えないだろうな。
「そんな所で突っ立ってないで、乗ってみろ」
「へ?」
「希和の車だぞ?」
「ッ?!」
まさか、まさかとは思ったけど……。
こんなにもあっさりと……。
京夜様は楽しそうに優雅に運転席のドアを開けた。
それはまるで私をエスコートするみたいに。
「どうぞ、希和姫、お乗り下さい」
「フッ」
執事気取りに京夜様は長い腕をスッと差し出した。
そんな彼の行動にくすぐったさを感じながら、
私は緊張しながらゆっくりと運転席に座った。
少しひんやりとした本革シート。
中は黒を基調として、赤がアクセントにポイント使いされている。
新車独特の匂いがして、胸が高鳴った。
「どうだ?」