オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
社外パーツの事を説明されても、正直分からない。
だけど、見た目と使い易さの両方を拘ってくれたことは分かる。
実用性を重視して、右ハンドルにしてくれたのも彼なりの優しさだと思うし。
何より彼好みではなく、私好みにしてくれたことがひしひしと伝わって来た。
きっと彼の好みなら、燃費や使い易さより、カッコよさを追及すると思うから。
ハンドルをギュッと握りしめ、感動を味わっていると。
彼が助手席に乗り込んで来た。
既にエンジンがかかっている状態だったから、
いつでも発進出来るという訳だ。
「運転出来そうか?」
「………はい」
「じゃあ、安全運転で」
「はいっ」
私はシートやミラーを合わせ、一呼吸置いて車を発進させた。
さすが、京夜様が選んだだけの事はある。
走りが滑らかだ。
視界もいいし、座り心地もいい。
何より、ハンドリングが軽い。
京夜様の車に比べ、タイヤが細いからステアリングが滑らかなのだ。
京夜様は長い脚を窮屈そうに組んで、車窓を眺めている。
「ありがとうございます」
「………ん」
「大切にしますね」
「………」
彼は照れ臭そうにフッと優しく微笑んだ。