オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
仕事に忙殺されている間も希和は完璧に家事もこなし、
更には披露宴の打ち合わせも手抜かりなくこなす。
何から何まで完璧で、忙しいにも関わらず
体調を崩す事も無く、毎日明るい笑顔を振りまいている。
時々、人造人間なんじゃないかと思うくらいだ。
本人に“辛くないか?”と尋ねたら、
“好きな事をしているから辛くない”と言うし、
“何より、健康だけが取り柄だ”と言う。
確かに体を鍛えぬいているとは言え、
やはり女性だし、心配にもなる。
彼女はきちんと寝ているのだろうか?
深夜に帰宅し、彼女が作ってくれた軽食を口にする。
本当はそれさえも省きたい所だが、
栄養を最低限でも摂取しないと、それこそ倒れかねない。
いつだって俺の事を最優先に考えてくれる彼女に
俺は無言でブランデー入りのホットココアを作る。
勿論、彼女好みにミルク多めで。
「わぁ~!いい香りがする~」
部屋に荷物を取りに行った彼女が匂いに釣られ、俺がいるキッチンへと現れた。
「珍しいですね」
「フッ、俺のじゃない」
「へ?………では、私の………ですか?!」
「ん」
俺は彼女にそっとカップを差し出すと、
ポカンとした表情で俺を見上げた。
「どうかしたのですか?」
「ん?………どういう意味だ?」
「だって………」